装いを新たにニュースレターをリニューアル #14
気がついたら肌寒い季節となりました。昨年末に鎌倉に引っ越したので、気がついたらもうすぐ1年。なんだか時間が経つのが早く感じてしまいます。
忙しさにかまけて、なかなか更新できていなかったこのニュースレターですが、装いを新たに、定期的に配信するようにしました。今後は月一程度でテーマを設け、そのテーマに関連した内容をお送りするようなしつらえにしたいと思います。他にも、最近読んだニュースや記事を紹介したり、本や映画、展示などの感想や紹介コーナーなども用意しました。
今後の配信内容
以下のような内容を軸に配信を予定しています。
🌟point of view
月一で設けたテーマに関連したものを調べたり考えたりしたものをお送りします。
⚡︎news
最近読んだニュースや記事などをお届けします。
📕topics
最近読んだ本、観た映画、その他、文化的な出来事などをお届けします。
🍹chatting
よもやま話や最近感じたことなどをお届けします。
本ニュースレターでは取材や執筆継続のために、サポートメンバーを募集しています。サポートメンバーのご支援のおかげで、多くの記事を無料公開できる体制ができています。配信内容の品質や頻度を維持していくため、サポートいただける人はぜひともサポートメンバーの登録をお願いいたします。
🌟point of view
このニュースレターは、「コモングッドをもとめて」というテーマで、公共善や共通善、公益といった意味である「コモングッド」とはなにか、これからの社会や私たちが生きるなかにおいて、考えるべきもの、他者と共有すべきものを考えることを根底に、様々な分野を横断しながら考えていくものです。「公」とはなにか、「公」と対になる「私」との関係、その狭間にある「共」についても考えることで、多面的な角度から結果として「公」を浮き彫りにしていきたいと考えています。
「公」というものからイメージされるものとして、政治や行政といったものはその1つです。そして、税金の適切な再分配機能が重要な仕事であることはご存じのとおりです。その再分配を通じて、社会的なインフラ投資や再整備を行い、私たちの生活を維持し、より良いものにするために使われます。
社会的に必要としつつも自分は避けたいという気持ち
都市化が進んだ地域、過疎や高齢化が進んだ地域など、地域によって様々な課題があるなか、限られた財政でどのような分野に資金を配分が重要になってきます。医療や介護、保育といった社会保障などのインフラ機能から、教育や環境整備による社会的投資など、配分による優先順位は政治行政における意思決定がものをいいます。AさんとBさんの優先順位が食い違うことも多々あります。様々な価値観や考えを持つ人たち同士での納得やすり合わせ、妥協点をいかに見出していくか、というのが民主主義の基本とも言えます。
そうした政治行政によって執り行われる行為によって救われる人がいる一方、その意思決定にあまり好ましくないと思う人もいます。
反対表明を言ってる人も、個々人の価値判断において不必要だということを言う人ではなく、社会にとって必要なものだと大枠は理解しつつも、その取り組み(事業、活動、場合によって建設される何かしらの施設)によって、面倒なことが起きてしまうことに対し、反対表明をする場合です。人は誰でも、自分自身に面倒なことが起きてほしくないと思う生き物であり、利己的な視点で見た時に、反発や反対の態度を取ってしまうこともあります。特にそれが、ゴミ処理場や原発施設といった、大きな政治問題にもなりえるものだけでなく、公園や保育園、葬儀場、病院など、普段の生活やその人の日常にあまり関わりのない施設であった場合、施設そのものに対して反対意見を表明しがちで、地域のあちらこちらで大なり小なりのそうした出来事が起きています。
社会にとって必要だと認識しつつも、誰かが犠牲を払い負の影響を被る必要がある。その負の影響をできれば自分は避けたい。そうした、公共に必要な施設であることを認識しつつも、それが自身の居住地の周囲(多くは隣接)に設置されることに反対する態度や言葉を、「NIMBY」(Not In My Back Yard:我が家の裏庭に設置しないで)と言われています。
利己と利他の狭間で揺れ動く
NIMBYの対象となりやすいのは、いわゆる迷惑施設の建設に際して言及されることが多くあります。例えば、原子力発電所や廃棄物処理施設、火葬場などがそれらに該当します。それ以外でも、幼稚園、ダム、精神科病院などがあげられます。NIMBYな施設によってその影響は様々です。例えば、その施設が建設されることによって、その地域や住民にとって衛生面や環境、騒音といった直接的な問題や、地価が下落する恐れや治安悪化の懸念がされます。また、火葬場や墓地などがそうであるように、精神的な面での負担を日常的に抱かざるを得ないと捉えられるようなものなど、施設によって捉え方は変わってきます。
個々人だけでなく、地域全体でそうした反対が広がると、次第にそれは施設への反対運動にも発展し、施設建設に賛成する人、反対する人、それぞれが運動を加熱させることによって、さらなる広がりが生まれることもあります。
まさに、この原稿を書いている時にも、長野県内で、子どもの遊ぶ声がうるさいという苦情によって、公園が廃止されたというニュースが飛び込んできました。
また、数年前にも、都内でも保育園の建設反対や児童相談所建設への反対などがあったことも覚えている人もいることでしょう。
地域における公共性を考える際、個々人の考えやそこに潜む利己と利他のあり方、私と公との狭間で動く「NIMBY」についてきちんと向き合うべきではないでしょうか。
次の回では、もう少しNIMBYについての深掘りをしてみます。
⚡︎news
幅広い世代に広がる麻雀、介護の世界に起きつつある変化
もうこの10年近く続いてることの1つに、年明け早々、友人らと麻雀をするのが1月の恒例行事です。気の合う友人らと、新年ならではの運試しやら挨拶やらを兼ねて、時には10人以上が集まり、数卓借りて打つことも。昔は夜通しやっていましたが、今はほとんどが日中に打ち、夜になったらみんなで飲みに行き、その日に解散というとても健全な遊びです。
2023年の年明けに新型コロナでなかなか開催できず2年ぶりくらいの集まりなので、新年早々が楽しみです。初めて会う人同士でも麻雀を通じてその人となりを感じ取ったりするもので、麻雀仲間を日々探しています。
そんな麻雀ですが、一般的には暗い部屋で辛気くさく打ってるというイメージを持っている人もいるかもしれません。昔は雀荘にしがない大学生がたむろするいかがわしい場のイメージがあるかもしれません。しかし、最近はきれいな場所も増えてきていますし、麻雀のプロリーグも人気で女性雀士が増えてくるなど次第に裾のが広がりつつあります。高齢者の方々が頭の体操の一環で麻雀を打つ、いわゆる「健康麻雀」もあります。最近では、ちょっとしたモールのような場所の一角に健康麻雀の施設があることも。
そんな老若男女が遊べるゲームとしての麻雀が、色んな形で注目され始めているのか、立て続けに麻雀ネタのニュースを見かけました。高齢の方々が集まるだけでなく、なんと、麻雀を打つ子どもも増えてきたとか。点数計算や役作りにおける数学的思考力、対戦相手の状況を読み込む分析力が鍛えられるなどの効果が期待されているようです。麻雀のイメージも、次第に変化していくかもしれません。
ただの遊びの場としての麻雀ではなく、介護施設に導入し介護予防としてのアプローチをしている取り組みもでてきています。もちろん、麻雀だけでなく、送迎方法にも一工夫をいれたりと、従来の介護施設のイメージを払拭しつつ、いかに楽しい場を演出するかという一環で、介護施設のあり方そのものを考えさせられます。
📕topics
ここ最近は良作の映画上映が多く、合間を縫ってどうにか観に行く時間を確保しています。『THE FIRST SLAM DUNK』や『すずめの戸締まり』といったメジャーどころも良いですが、個人的にはA24製作のSF『アフター・ヤン』や平野啓一郎原作の『ある男』なども上映してすぐに観に行った作品です。A24製作といえばホラーの『MEN 同じ顔の男たち』も始まりましたね。こちらも楽しみです。年末年始の時間のある時に、まだまだ観たい映画があるのでできるだけ映画館に足を運びたいと思います。
小松理虔さんの『新地方論 都市と地方の間で考える』読みました。小松さんならではの視点や語り口で綴られる地域論。観光を通じた「自己」の創生という流れや、本書全体で通底する福祉的なテーマにも共感することが多くあります。人がそこで生きるということ、人が人として健全に暮らすということは、ひいては福祉というテーマとすべて結びつくものだと思います。地方論という書名ではありますが、暮らしや生活論のようなものとして捉えることができる一冊だと思います。
村中直人さんの『<叱る依存>がとまらない』は、日々成長し、自意識や自分なりの行動を取ろうとする子どもに対し「叱る」というものと向き合うことも多く、つい、他者をコントロールし押しつけやあるべきありようを実現させようとしてしまう自分自身における自律心との向き合い方を考えてしまうなかにおいて、参考になることも多い一冊でした。
同時期に読んでいた三木那由他さんの『会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション』においても、相手と約束事をつくるコミュニケーションと相手を誘導し操作するマニピュレーションの違いについて語られている部分などが興味深く読むことができました。他者とコミュニケーションすることのあり方を多角的に捉えるための関連本として一緒に読んでみるとよいかもしれません。
🍹chatting
11月23日の文化の日、仕事で岡山を訪れ、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんと、文化人類学者の松村圭一郎さんと「公園」をテーマにしたトークイベントに登壇しました。あいにく天気は雨模様でテント下でのトークだったため、コンディションはあまり良くなかったですが、公園における公共性、公園は稼がなくて良いのでは? 公園の姿はその地域の民意の鏡であるといったキーワードが飛び交うなど、公園を軸とした都市と暮らしのあり方について、刺激的なお話をすることができました。
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