#0 ニュースレター開始にあたって

ニュースレターを始めるにあたり、導入としてレターの方向性や考えていることをまとめました。
江口晋太朗 2021.01.09
誰でも

こんにちは。江口晋太朗と申します。ニュースレターをお読みくださりありがとうございます。

第0号として、今回は導入とニュースレターの方向性や今考えていることなどに触れてみたいと思います。

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直面する様々課題にどう向き合うか?

このニュースレターの開始は2021年の1月上旬。折しも、東京では緊急事態宣言が発令するタイミングとなりました。

2020年は年明けから日本国内でも感染報道が広がり、そこから一気に新型コロナウイルス(COVID-19)一色の一年となりました。

普段、東京在住で仕事をしている私ですが、全国各地、時には旅行や出張などで海外にも行くこともしばしばある身。さらに、現地での取材やフィールドワークを通じた多様な人たちとのコミュニケーションにこそ、情報の源泉があると思う人間としては、なんともしがたい状況に2020年からずっと続いている状態です。

まさにそうした状況のなかにおいて、仕事や生活のあり方そのものが変わったり、これを機会に環境そのものを見直そうという動きがあったりした人も多かったのではないでしょうか。

毎日更新される感染状況の報告、政治の現場における意思決定のあり方、経済と感染対策とのバランス、不安定な環境のなかで生活する私たちのメンタルヘルスや非正規雇用やジェンダーなどによる採用や雇用の不安定さによる問題や長年から続く自殺者の問題、医療従事者やエッセンシャルワーカーたちの労働環境や職場環境など、複雑で先行きが見えない社会のなかで社会課題はさらに加速しています。

もちろん、それ以前から日本で課題とされている少子化とそれに伴う人口減少は、新型コロナウイルスの影響でさらに深刻になりつつあります。高齢化による介護や福祉の問題は、基礎疾患のある方の影響も大きいだけでなく、人とのコミュニケーションが激減することで認知症や孤独死などを誘発しかねない状況にもなるなど、他者とのコミュニケーション不全によるケアの問題なども影響も及ぼしています。

他にも、都市構造の見直しや映画館やライブなどの芸術純化施設への支援の少なさ、地域経済における歴史的文化的な生業が閉業危機に瀕するなどあらゆる領域に影響を与えました。

さらに俯瞰して見ると、気候変動などの地球規模での変革が必要に迫られています。新型コロナウイルス対策と平行しながら、国、社会、組織、そして個々人が持続可能な社会のあり方に向けたシフトチェンジを問われているタイミングといえます。

レターのタイトルの意味

以前から、社会構造のあり方や持続可能な社会をつくるためにどういう仕組みが必要かを私は考えてきました。そのなかで、ニュースレターを始めるにあたり「コモングッド」というキーワードを一つ軸としながら物事を捉えてみようと考えました。

「コモングッド」は「Common」と「Good」と合わせたもので「共通善」や「普遍的な善」などと訳されています。コモングッドという考え方や概念はなにも新しいものではなく、古代ギリシャにおけるプラトンやアリストテレスの時代から、人間の社会生活における理念として捉えられてきたものでもあります。

それはなにか一つの答えや誰かが正解を持っているものではなく、ある種の公益性のもとで、いかにして人々がより良く生きるのか、そのための社会的な配慮や社会との合意を経ながら、私たち自らで絶え間なく作り上げていかなければいけないもの、と捉えると良いかもしれません。

そしてそれは、今を生きる人だけでなく、過去に生きた人たち、そしてこれからを生きるすべての人たちとの「共生」を含む言葉といえます。 未来世代に対する現代世代の配慮、そして、現代に生きる上での倫理観なども含まれているといえます。

タイトルに「コモングッドをもとめて」とあるように、私自身もまだまだ手探り状態のなか、日々接する情報や出会った人たちとの対話を重ねながら、このキーワードを軸に考えを整理してみたいと考えています。

なので、肩肘張ったものというよりも、コモングッドというキーワードを根底におきながら、私たちが今生きている社会で起きていること、これからの社会のあり方について議論していく一つの補助線となるようなトピックや事例、そこからの考察や分析など、様々な観点から考えるヒントとなれるようなものを一緒に探求していきたいと思います。

扱うテーマもそうした意味では幅広いものになると思います。社会で起きているあらゆる物事を、このニュースレターならではの観点で分析していければと。それこそ、政治や医療、環境、家族政策やパートナーシップ、介護、福祉、社会保障、地方行政、教育、文化芸術、文芸、テクノロジー、ビジネスについてなど、幅広いテーマを扱いながらこれからの社会のプロトタイプや未来への再想像を促すことができたらと考えています。

私自身、職業柄、様々な媒体へ寄稿もしていますし、自分自身のサイトではこれまでに関わった仕事のポートフォリオやブログも書いたりしています。他にも、自分が経営している会社や取締役や理事をしている団体などあり、様々なところでも発信をしているので、このニュースレターでは他で掲載されたものの補足や記事になる前のリサーチしたものなども上げていくかもしれません。

コラムやオススメの映画や書籍のご紹介や書評、対談やインタビューなどいくつかのコンテンツも考え中で、内容も読者の方々からのフィードバックをもらいながら模索しながらも自由なあり方で運用していきたいと思います。あまり堅苦しい感じではなく、のんびりと読めるコンテンツ、時には、日記のようなものもあってもいいかな、と思ったりしています。

また、無料購読読者限定のイベントや企画も考えています。定期的に届くニュースレターを少しでも楽しみにしてもらえるようになれたら幸いです。

同時に、このニュースレターも私だけでの運営ではなく、読者からの寄稿もそうですし、企画内容そのものに関わりたいと思う人がいればぜひ一緒につくっていければと。コモングッドという方向性そのものに何が答えがあるわけじゃないからこそ、色んな人たちとレター運営をするなかで議論を重ねることも一つの知見の場になるのではと捉えています。ご関心のある人はぜひご連絡ください。

たくさんの人に読まれるというよりも、自分たちが重要だと感じたことを調べ、考え、執筆し、みなさんからの意見をもとに新たな視野や視点をもとに耐えない対話の積み重ねからコモングッドとなりうるものを探求をし続けていくことをしていきたいと考えています。

人は社会的な生物です。そして、私たちは言葉や身体を使って他者と日々コミュニケーションしています。一方、自己と他者はすべてをわかりあえる存在でないことも事実です。私が見えている風景と他者が見ている風景は違う。受け取る情報も解釈や認識する情報も違います。

けれども、わかりえあえない他者とともに共生しながら、それぞれにとっての社会を豊かにできる共通したものごとを見出していく、そのための耐えない過程を放棄することなく、考え、歩み続けることが大切です。言葉と心を常に磨き、知識を共有しながら、世界を作り上げていく一つの参照されるものになれば幸いです。

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