プラットフォーム協同組合という新たな動き #20
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プラットフォームビジネスが生み出すいびつな構造
いわゆるGAFAと呼ばれる巨大なデジタルプラットフォーム企業が提供するサービスは、私たちの日々の生活のあらゆる場面で利用されており、もはやそうしたサービスなしには生活できなくなっているほどです。生活インフラ、もっといえば公共サービスのようになっていながら、その存在に日々支えられていることすら無自覚に過ごしているかもしれません。
これらのサービスを提供する企業は、一企業ながら大きな経済的、社会的な影響力を持つまでとなり、もはや国を超えた一つの「帝国」としての存在になってきています。この一つの「帝国」の上において、世界中のありとあらゆる人達がつながり、様々なやりとりを行い、そこに大きな経済市場が生まれています。
同様の動きとして、Uberを代表とするライドシェアサービスや、Airbnbのような民泊マッチングサービスといった様々なプラットフォームサービスも今や新たなツールとして利用されています。こうしたサービスやプラットフォームによって、個人と個人が直接つながり、そこに様々な交換や売買による経済が生まれています。これらのプラットフォームの成長にはデジタルがその根底にあります。
一方、こうした一企業やサービスが大きな影響力を持っていることによる弊害も起きています。GoogleやFacebookには様々な個人情報が集約し、それらを使い”パーソナライズ”化した広告が表示されています。Appleはアプリストアによるプラットフォームビジネスのみならず、Apple watch などからヘルスケアデータを収集しています。こうしたデータは彼らのビジネス基盤として収益構造の柱として利用されていながら、もはやこうしたサービスなしにインターネットやデジタル経済を動かせないという状況にきており、極端にいえば、私たちの個人情報を日々収集し、ひいては生殺与奪をも握った存在になっているともいえます。
UberやAirbnbのようなサービスは「シェアリングエコノミー」とも呼ばれていますが、間に入ってる企業はある種の仲介をしているだけに過ぎず、いざ問題が発生した場合にはいかに責任追及から免れようする力学が働きます。運営会社としても株主からの突き上げなどから利益をしっかりと確保するためにサービスそのものが改悪されることもしばしあります。サービスのなかには、シェアリングサービスを銘打っているものの、実体はただのレンタルビジネスの延長であることもしばしあるかもしれません。
ここで問題なのは、そこで働くもしくはそのサービスやプラットフォームを利用し経済的な活動に従事するユーザーにとって不利益な状況が、運営会社の判断によって一方的に行われてしまうことが往々にしてあるということです。最近日本でも、Amazonの配達における個人事業主が実質的に従業員と同等ということから労災認定がされたというニュースがなされました。実体は、直接的な管理ではないにせよ、対外的には「ギグエコノミー」という名称のもの、ある種のやりがい搾取やほぼ従業員と同じような労働環境にもかかわらず、形式的には業務委託という名の下に運営側の保険や責任を回避することで膨大な利益を生み出す仕組みを構築している点が指摘され始めています。UberEatsのような配達員は、好きな時間に働ける、とはいえ、実質的にはいつ依頼がくるかもわからず、きた依頼をこなさなければ報酬を得ることも出来ません。成果報酬という名の下に労働時間を強制的に確保されているといっても過言ではないでしょう。
いわば「シェアリングエコノミー」という口当たりの良い言葉に惑われされているところもあります。シェアリングエコノミーという言葉を生み出したシリコンバレーでは、最近ではシェアリングエコノミーとは呼ばず、オンデマンドサービスやマッチングサービス、といった別称になっており、シェアリングエコノミーという言葉が持つ欺瞞性に疑問視がされ始めているほどです。そこには、プラットフォームを運営する側とそこに従事するものとの非対称性によって生まれる構造が存在しているのです。
プラットフォーム協同組合という新たな動き
デジタル経済における労働や一方的な搾取構造に対抗する「プラットフォームコーポラティブ(プラットフォーム協同組合)」という動きがでてきています。プラットフォーム協同組合の定義として「サービスを提供したり製品を販売したりするために設計されたデジタルプラットフォームであり、それに依拠し、参加する人々によって共同で所有および管理される」と言われています。協同組合というイメージから古くて目新しさのないものが想起されるかもしれませんが、デジタルのプラットフォームそのものを働く人達の手で「共同所有」や「共同管理」することにより、過剰な労働搾取をなくし、働きがいのある人間らしい労働(ディーセントワーク)を実現しようとするものなのです。
日本でも昨年10月、労働者協同組合法(ワーカーズコープ)が施行されたことで、労働者自らで所有と統治を行う組織形態が生まれはじめています。法施行から1年がたち、日本国内でも59法人が労働者協同組合として設立されています。
プラットフォーム協同組合について書かれている資料や書籍はいくつかありますが、日本語で読めるものはまだあまり多くはありません。例えば、海外における協同組合の歴史や現況、そして新たに生まれているプラットフォーム協同組合の動きについてまとめた『ネクスト・シェア ポスト資本主義を生み出す「協同」プラットフォーム』(ネイサン・シュナイダー、2020年、東洋経済新報社)がそれにあたります。
『ネクスト・シェア』をネイサン氏が書く以前、デジタル経済における労働問題について研究するトレバー・ショルツ氏とともに編著者としてまとめた『Ours to Hack and to Own: The Rise of Platform Cooperativism, A New Vision for the Future of Work and a Fairer Internet』(2017年発行、未邦訳)という本があります。以前からネイサン氏とトレバー氏はプラットフォーム協同組合に関するプロジェクトを共同で立ち上げ、その一端としてプラットフォーム協同組合に関連する論考を様々な方達が寄稿したアンソロジー本として『ours to hack and to own』が出版されました。編著者であるトレバー氏は、2016年に発表した「Platform Cooperativism vs. the Sharing Economy(プラットフォーム協同組合主義とシェアリングエコノミー)」でプラットフォーム協同組合という概念やその背景にある問題について最初に提起した人物で、プラットフォーム協同組合というムーブメントを広げた第一人者ともいえます。
この二人がまとめた『ours to hack and to own』にまとまっている論考の一部著者の原稿がクリエイティブ・コモンズ(CC BY-SA 4.0 DEED)ライセンスが付いているものがありまう。そこで、自分なりの学びを深めるため、同書の内容を私なりに翻訳したものをこのニュースレターで適宜ご紹介していければと思います。
まず最初に、本書の編著者の一人であるネイサン氏が寄稿した「The meanings of words」という論考を以下翻訳したものを記載します。なお『ours to hack and to own』の原著はKindleおよびペーパーバックで入手できます。
The meanings of words(言葉の意味)
ネイサン・シュナイダー
この10年間、私はレポーターとして、神についての議論から街頭での抗議活動まで、テクノロジーが公共の生活をどのように変えているかを取材してきました。私が気づいたことのひとつは、インターネット文化は「民主主義」という重要な言葉を奇妙に使っていることです。新しいアプリが何かを”民主化する”と言われるとき—それがロボットのパーソナルアシスタントであれ、セピア色の自撮り写真であれ—より多くの人が何かにアクセスできることを意味しています。しかしそのアクセスには、巨大で複雑な利用規約が設けられていることに気がつかされます。そこには、民主主義という言葉から起因するタウンミーティングや投票所といった古いイメージはなくなり、ましてや、共同所有、共同統治、説明責任といったものもなくなります。
言葉は作家としての私の商売道具であるため、その意味をしっかりと理解しておくべきだと考えています。私たちは言葉に大きく依存しています。言葉は私たちを互いに結びつけ、私たち自身で何ができるのかを思い出させてくれます。そして私は、インターネットが”民主主義”の定義を無意味に再定義するのではなく、より大きな志を持って私たちを手助けするものになることを願っています。
2014年末、私はAmazonのメカニカル・ターク(編注:様々な仕事を世界中の人達に依頼できるクラウドソーシングサービス)についての記事を書いていました。このサイトでは、レシートのコピーから広告のフィードバック、社会学的な調査の協力など、ユーザーがちょっとした時間(数秒から数時間程度)でできる完全オンラインの仕事を探すことができます。私はトレバー・ショルツ氏とともに、ニューヨークで開催されたDigital Laborカンファレンスに参加し、実際にメカニカル・タークで働いている人達、例えば夫が失業しために働く妻や元ケーブルテレビの技術者らと出会いました。彼らはこのプラットフォームでどのような仕事をしているのかを説明してくれました。ところで、雇用者(依頼主)は彼ら(メカニカル・タークで働く人達)を審査することができますが、彼らは雇用者を審査することはできません。時には、雇用者から一方的に報酬も請求権もないまま拒否されることがあります。最低賃金以下の支払いを防ぐための制約もありません。そのうちの1人がメディアに訴えたところ、その人のアカウントが凍結されてしまいました。
そんな日々の中で、ターカーズ(編注:メカニカル・タークで働く人達の呼称)の間ではある種の疑問、思考実験が行われていました。彼らは声に出して考えました。「もし自分たちがこのプラットフォームを所有しているとしたらどうだろう?どうやってルールを決めるのか?」
彼らは1、2分ほど考えて、自分達やAmazonにとってより良いプラットフォームにするためのアイデアを出し合いました。合理的なアイデア、賢いアイデアがたくさん飛び交いました。しかし、そのアイデアは現実を直視すると不満として返ってくるだけでした。
もはや百科事典を代替する巨大なインターネットをめぐる覇権争いは、ある種の苦痛を伴いながら激しさを増すばかりです。サンフランシスコでは富の不平等に抗議してGoogle社専用バスが封鎖され、世界各地でUberのドライバーがストライキを行っています。このオンライン経済は、ますます現実世界の経済を飲み込むほどになってきており、多くの人々が仕事や人間関係、そして暮らしにまつわるあらゆるもの見つける手段になっています。インターネット企業は、自動車から冷蔵庫まで、あらゆるものをネットワーク化して収益化することを目指しており、企業はこれを「モノのインターネット(IoT)」と呼んでいます。しかし、ターカーズの質問は私の頭の中に何度も響いています。
彼らは何かを掴んでいるのだろうか? もし、プラットフォームやネットワークが本当に私たちのものだったら? もし、インターネットにおける所有権を持つことができたら?
リアルな共有、リアルな民主主義
インターネットが手に入れたもう一つの言葉が「共有(シェアリング)」です。以前は「共有」といえば知り合いや信頼できる人たちとの間で行われるものでした。一方、いわゆる「シェアリング・エコノミー」はどこか遠くのサーバー間で行われるより便利な取引を意味しています。便利さはたしかに素晴らしいものですが、ずっと以前から本当のシェアリングエコノミー、つまりコーポラティブ経済(協同組合経済)が存在していたことを忘れてはいけません。
現代の協同組合運動は、1844年に設立したイギリスのロッチデール公正開拓者組合が策定したロッチデール原則にまで遡ることができますが、さらにその前身は世界中の古代の部族や修道院、ギルドなどに端を発しています。その原理原則は、集団に所属している人々の間で所有権と統治権を共有し、利益を共有し、競争ではなく集団内にて調整を行うというものです。
多くの人が気づいていないだけで、私たちの身近なところに協同組合は存在しています。私が住んでいるコロラド州では、州内の70%の地域で1930年代以前に設立された協同組合の電力会社から電力が供給されていて、その電力会社は地域の人達によって所有、運営および統治されています。私が加入している信用組合は、この地域でトップレベルの住宅ローンを提供しています。
私の自宅の西側にある山間では、何年か前に地域の人たちが自らインターネットプロバイダーサービスの協同組合を立ち上げました。他にもLand O'Lakes(編注:乳製品の製造や農業事業、レシピサイトなどを展開する)、Organic Valley(編注:オーガニックな野菜や乳製品などを取り扱う)、REI(編注:アウトドア関連グッズのメーカー)といった協同組合があります。
協同組合は大小さまざまな事業や組織規模のものがあります。他の企業に比べて失敗が少なく、(トップを除いて)賃金も高いことが多いことでしょう。一攫千金を狙っている人にはあまりメリットがないかもしれませんが、民主主義はうまくいくことがわかりました。透明性が高い組織のため、企業のリーダーに起きがちな横領や不正といったことは起きにくいでしょう。
私はかつて協同組合が運営する家に住んでいたことがあります。そこはお世辞にもきれいとはいえなかったものの、オーガニックで、夜な夜なフォークミュージックが流れているようなステレオタイプの場所でした。しかし、ケニアの協同組合経営者のためのビジネススクールで見たものはそうではありませんでした。
ケニアにおいて、協同組合はGDPの約半分を占めており、学生たちは他の国のビジネススクールの学生と同じような雰囲気でした。ただし他のビジネススクールと大きく違うのは、マーケティングやケーススタディに加えて、自分のために働く人々が自分の上司として働くための会社の運営方法を学んでいました。
バルセロナ周辺では、カタルーニャ・インテグラル協同組合の何千人ものメンバーから、21世紀の協同組合の姿を垣間見ることができました。これらの独立した労働者たちは、昔ながらの仕事を確保するのではなく、お互いに給料への依存度を減らし、共通で所有する住居、食事、育児、コンピューターコードなどに頼ることを目指しています。彼らは独自のデジタル通貨で取引を行います。このようなケースでは、労働者、生産者、消費者、預金者といった従来の境界線を引くのは難しいかもしれません。
かつて協同組合が生み出した遺産の一部は、すでに技術文化の過程の中で今では当たり前のように利用されています。インターネットの分野においては、ウィキペディアやLinuxのように、ピア・ツー・ピアの自治によって構築された無料のオープンソースツールが、現在進行形でインターネットを発展させる基盤をつくっています。スタートアップのガレージからGoogleplex(Google本社の愛称)まで、多くの技術系オフィスを訪れると、そこにはボトムアップでプロジェクトを生み出す自己組織化されたチームがあります。
しかし、このような民主主義的な動きはどういうわけか、役員室には届かないようです。たまたま多くの株を持っている人が采配を振るう20世紀的な企業活動がいまだ行われているのです。そこにはファイアウォールがあります。私たちはどこでも民主主義を実践することができますが、本当に重要な場所を除いてそうはなっていません。
ここ最近、私たちの眼前にSF的な問いが投げかけられています。
「アプリやロボットが私たちの仕事に取って代わるのか?」
「アプリやロボットが私たちの仕事に取って代わるのだろうか?」
「私たちのデジタルライフのあらゆる情報は監視の目から逃れられることはできないのだろうか?」
「デジタルユートピアは、スウェットショップや血中ミネラルのようなディストピアを伴わずに実現できるのか?」
いずれの場合においても、協同組合の伝統は必要な問いを投げかけています。私たちが生活する道具は誰のもので、どのように管理されているのだろうか?
プラットフォームコモンズ
古今東西の協同組合は、競争を前提とした経済や文化の中で足場を固めるために、2つの戦略を用いてきました。1つは、協力することで得られる競争上の優位性、例えば従来の市場が失敗しても成功する能力や連帯感によって生まれる価値を出すことです。2つ目は、システムのルールを変えて、より協力的な活動をサポートすることです。特に政府が協力的な企業・団体の価値を認め、奨励したり資金を提供したりすることは重要です。プラットフォーム協同組合主義を発展させるには、この2つが必要だと考えます。
まず、協同組合の競争上の優位性を確認することから始めましょう。例えば、協同組合の活動は、オンラインのつながりがもたらす緩い絆を深めるのに適しています。大手ハイテク企業が労働者やユーザーを「人」として扱うことが難しくなってきている中、協同組合は労働者やユーザーに対してポジティブで倫理的な立場や選択肢を提供します。従来の企業と協同組合の所有権やガバナンスを組み合わせたハイブリッドモデルは、短期的には有望のように見えます。しかし、既存の経済システムのルールは依然として協同組合主義に対して厳しい状況は変わっていません。
これを変える必要があります。政府は、このような協同組合のプラットフォームが、より多くの富を地域社会にとどめ、地域住民に貢献することを認識すべきです。Uberのようなものに「ノー」と言おうとして(そして失敗して)も、プラットフォーム協同組合は公的機関が「イエス」と言えるものなのです。協同組合の設立と資金調達を容易にする法律が必要であり、事業開発への公共投資も必要不可欠です。
これは、既存の企業に対する考え方を変えることでもあります。Facebook、Google、Uberなどはもはや普通の企業ではありません。彼らのビジネスモデルは、私たちの多くが彼らのサービスに依存することを前提としており、そのユビキタス性がますます彼らの利便性を高めています。もはや彼らは公共事業になりつつあります。使うかどうかの選択権がなくなればなるほど、民主主義の介入が必要になります。もし、新世代の独占禁止法の誕生によって新興のオンライン公益事業を解体する代わり、より民主的な所有権への道筋がつくれるとしたらどうでしょうか。
Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグはFacebookの株式を自分のLLCに寄付するのではなく、Facebookユーザー自身の手で所有・管理する信託に預けることができます。そうすれば、ユーザー自身もプラットフォームに蓄積された貴重な個人データの取扱についての決定権を持つ事ができ、プラットフォームが成功するための利害関係を持つことができます。あなたは、こうした意見に賛成票を投じますか?
これは、私たちがどのようなインターネットを望んでいるのか、どのような世界を望んでいるのかということだけではなく、私たち自身をどう見ているかという問題でもあります。メカニカル・ターカーズのように、自分たちが主導権を握ったらインターネットはどうなるのかを想像するだけの勇気があるだろうか。
30年前、インターネットがまだ実験室内の出来事でしかなかった頃、社会評論家のセオドア・ロザック氏は著書『The Cult of Information』で「情報化時代を民主的に最大限に活用することは、技術だけでなく、その技術の社会的組織の問題でもある」と語り、このような事態が起こることを予見していました。
私たちはそれを忘れています。新しい機器やガジェットはあっという間に登場し、言葉の意味が変わり、それに伴って自分自身に降りかかる期待が変わっても、そうした変化に私たちはほとんど気づいていません。一般の人々は、ハッキング、ミーム、抗議、そして夢の中でしかインターネットを自分のものにできません。これらのコントロールを放棄することの代償はあまりにも高く、あまりにも不可思議なものだと気づくべきです。
私たちはもっと期待し、もっと要求する必要があります。今こそ、私たちは自分たちがすでに持っているものの所有を取り戻しコントロールする時なのです。
「The meanings of words」NATHAN SCHNEIDER
CC BY-SA 4.0 DEED
by 『Ours to Hack and to Own: The Rise of Platform Cooperativism, A New Vision for the Future of Work and a Fairer Internet』
次回は、トレバー・ショルツ氏による論考「How platform cooperativism can unleash the network」(プラットフォーム協同組合主義はいかにしてネットワークを解き放つか)を掲載予定です。
📕topics
神保町ブックセンターでイベントがあります
現在仕事で関わっている、神保町にある元岩波ブックセンター跡地にできた神保町ブックセンター。開店後すぐに新型コロナが流行し、なかなかイベントや企画展示が展開できなかったが、今年に入りイベントや展示企画などに注力したいという相談をいただき、企画をこの秋頃から仕込み始めているところです。
その一環として文化の日である11月3日(金・祝日)と4日(土)の二日間、展覧会を開催いたします。唐十郎が率いた「状況劇場」の看板役者だった十貫寺梅軒さんが保有している貴重なコレクションの展示と物販を行う展覧会です。
70年代のアングラカルチャーに関する貴重な品々が見れるだけでなく、その多くが購入可能という貴重な場になっています。夜には、両日ともに十貫寺梅軒さんをゲスト(シークレットで、状況劇場の関係者も来るかも?)トークイベントを行い、70年代のアングラカルチャーについて振り返るトークイベントも行います。
11月3日は神保町で開催されている「神田古本まつり」の最終日でもあるので、神保町にお立ち寄りの際はぜひ神保町ブックセンターにも足を運んでいただければと思います。
▼イベントの詳細はこちら
コモンズ論研究のオストロムの翻訳本が出版されています
以前のニュースレターで紹介した、コモンズ論についての研究者でノーベル経済学賞も受賞経験を持つ、エリノア・オストロムの著書『Governing the Commons』の翻訳書『コモンズのガバナンス 人びとの協働と制度の進化』が出版されています。
出版は2022年12月で、以前から翻訳書が出ると聞いてはいたものの、やっと出版されたか!と思っていたところでした。実は今年の春先頃に出版されたのを知ってすぐに購入してたものの、いわゆる積ん読状態だったので、ぼちぼち読もうかと思ってるところです。一応、原著も持っててそちらでも読んでいたのですが、原著と翻訳書ではまた違った読み応えがあるので、秋の夜長にぴったりと本かもしれません。
🍹chatting
イントロと翻訳文でせいか、今回のニュースレターは全部で1万字近くの内容になってしまいました。
『ours to hack to own』は、以前に自分の理解を深めるためにざっと仮訳したものが手元にあったので、それを読みやすく整えたものを掲載しています。同書はアンソロジー本にて、全部で40章の論考とプラットフォーム協同組合なサービスの概要を紹介するコラム的なものが入っています。そのなかから、クリエイティブ・コモンズ ライセンスが付与されており、かつ、内容的にもプラットフォーム協同組合の理解を深めるに良さそうな論考を適宜ピックアップしてお送りいたします。特に、概念だけでなく具体的なサービスや事業の説明があると、より理解も深まると思いますので、今後、じょじょに言葉の意味とともに具体的な活動にも触れていこうと思います。
元がクリエイティブ・コモンズ ライセンスが付与されているため、このニュースレターもできるだけ広く読まれてほしいため登録なくても誰でも読めるような仕様にしています。
とはいえ、翻訳や原稿執筆もそれなりに時間を掛けて作業していますので、ぜひとも感想をSNSにシェアやサポートメンバーの登録をいただけると大変嬉しく思います。
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