継ぎ手がいなくなる墓地の行方は #17
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NIMBY(Not In My Back Yard)とは「社会的に必要だと理解しつつも、自分の近くには来て欲しくない」もので、保育園、ゴミ焼却場、原子力発電所といったものがNIMBYな施設と言われています。
以前のニュースレターでもNIMBY問題は「公共性」を問い直すものであり、そこにある「当事者性」とどう向き合うか、ということを指摘しました。
さて、そんなNIMBYの一つに「墓地」もしばしば上げられます。一般的に、自宅の隣に墓地はイヤだと思う人も多いはず。マンションやアパートの内見でも、窓から隣の墓地が見えるだけで住みたくないと思う人も多いのではないでしょうか。
先日、東京新聞の紙面に、このような記事が掲載されていました。墓地を引き継ぐ人がいなくなり、墓じまいをする人が増えてきているという記事です。
民法では、墓は祭祀財産と規定されており、いわゆる遺産相続の対象となる相続財産とは異なり、子々孫々での継承を前提としています。
いわゆる家族制度とも紐付いた墓地の継承は、これまで長男や同一姓の人が引き継ぐことを重要視してきました。最近ではそうしたことが難しくなってきたのか、長男や同じ姓である必要はしだいに薄まってきたかもしれません。とはいえ、いまだ家を守る、家を引き継ぐということと墓地とは切ってもきれないものといえます。
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墓地の継承と無縁化
日本の墓が代々継承を前提としていることは、「永代使用権」という言葉からも見てとれます。
一般的に言う「墓を買う」とは、その区画を使用できる権利(永代使用権)を取得し、墓地運営者との間で墓地の使用契約を結ぶというものです。しかし、永代使用権は永久的に区画を使用できる権利ではなく、継承者がいる限り使用できるというものであるため、継承する人がいなくなれば永代使用権はなくなってしまいます。
仮に継承者がいたとしても、高齢化に伴う管理能力不足などから墓地の継承を断念するケースも多々あります。さらに、少子化の影響に伴う継承者の減少、もしくは継承者の不在、親戚づきあいの難しさなどから親族との縁が切れ、継承する人が現れないといったことなどから、「墓地の無縁化」が起きてきます。